●「もののけ姫」ニュースクリップ:1
news clip of "The Princess Mononoke"

1997年1月〜4月
戻る rerurn



1997年4月3日 "The Japan Times"


ディズニーが日本の映画に出資


巨大な王蟲、グライダーに乗ったヒロイン、あるいは豚のパイロットは、古典的なディズニー作品にはないものである。にもかかわらず、ウォルト・ディズニーは、 創造力豊かな宮崎駿が制作する次回作の映画に出資している。

宮崎氏の目には、新しい社員は、彼の作品に登場する人物と同じくらい気まぐれである。東京郊外の、宮崎氏のスタジオでインタビューしたとき、宮崎は、ディズニーのライバル作品を「退屈である」と言った。「私の友人がそこにいるけれども、彼らは私の作品が好きなんだと思う。」彼は、ディズニー作品は一度確立した品位を失ってしまい、それ以上に、人間が抱えている問題について問いかけることをやめてしまった、と思っている。「単に人を笑わせるだけの、娯楽のためだけに作られたフィルムは良くない。他の芸術のように、映画は世界の秘密への扉を少しだけ開いて見せるべきものなのだ。」

最近における2本の宮崎作品は日本で大ヒットした。日本の映画産業は、「紅の豚」と「耳をすませば」の国内配給収入が、それぞれディズニーの「美女と野獣」「ポカホンタス」を上回ったという数字を出している。最新作「もののけ姫」は、ウォルト・ディズニーによって全世界に配給される最初のジブリ作品になる。7月にリリースされる「もののけ姫」のために、スタジオでは約100人のスタッフが約125,000枚のセル画を描いている。

宮崎氏は、「もののけ姫」が自分の最後の作品になるだろう、と言っている。彼は、この作品にすべてを賭けている−スタジオの将来をも。 15年以上の構想期間と20億円もの費用をかけて制作してきた。
「私は、私自身がこれ以上作品を制作できるかどうかについてはあまり気にしていない。」
と56歳の宮崎氏は言う。
「私は充分に生きてしまった。もう引退したい。」とも。

ジブリ作品は、少なくとも技術的にディズニーの最新作を技術的に詳細で、かつ創意に富ませる影響をもたらすと思われる。宮崎作品は、単に一つだけの動画が動くのではなくて、背景や脇役までもが緻密に動く。宮崎氏と、彼の同僚である高畑氏は、画面、配色、そして動きに微細な注意を払うことによって、多くの支持を獲得した。

宮崎作品でたびたび登場するテーマは、1920〜30年代の飛行機である。それらが、映画の中で多く描かれる。その中で、ブタの顔、人間の体を持つパイロットが登場する「紅の豚」は、激しい空中戦が展開される作品である。
「その当時、飛行機はしばしば衝突し、多くの人々が死んだ」
と宮崎氏は言う。
「私は、地上での平凡な生活を捨て、空中に消えていくような男女が好きだ。」

彼がディズニーとの提携により、今までと異なった作品を作るか?と尋ねられて、
「いいえ、私たちは自分たちの方法でしか作品を作らない。私たちは、日本に住み、そしてここから物事を考える。」
宮崎氏は、こうも言っている。
「米国の作風が、宮崎の作風を取り入れるだろう。そして、ジブリは下請け業者とは見なされなくなるだろう。ディズニーは、日本の市場がアメリカとは異なっていることを把握した。日本の聴衆のために作られることニーズがある、アメリカとは別の市場があることを知るであろう。」

日本のアニメーションは、一般にテーマが暗く、暴力的である。それらを脱した「アキラ」のような作品は広範な支持を得ている。宮崎作品のテーマは、「アキラ」と比較しても更に穏やかである。 新作は、自然環境に対する人間の侵入に関するテーマを扱う。
「もののけ姫」は、私たちが直面している最も大きな問題に対する試みである、と宮崎氏はいう。

もし、宮崎氏が別の作品を作るとするならば、彼は「虫」それも、自らの存在のために戦う、小さい虫・醜い虫・有毒な虫に関するテーマを扱いたいという。
「子供達が、映画を見た後で虫を殺さなくなったら、それは素晴らしいことだ。」と。
(当該記事より)







1997年4月2日 大阪朝日新聞 夕刊


加藤登紀子の男模様
宮崎駿さん−「女は常に賢くて美しい」

 宮崎さんの「スタジオジブリ」へ行くと、玄関のところに、「馬鹿っ」と書いた書が額に入れて飾ってあります。何をかくそう、これは、私が「紅の豚」にジーナ役として声の出演をした記念に宮崎さんに贈った書です。

 空賊たちとの戦いで、もうついに死んだかと思われたポルコ・ロッソからの電話に、ジーナが大声で叫ぶセリフが「馬鹿(ばか)っ」。 「登紀子さんが生きてきた何十年かの間の、男というものへの怒りを全部はきだして下さい」なんて要求されて、苦戦したセリフです。 「この字を見てショックを受けて正気に戻る奴(やつ)が結構いるんです。男は馬鹿なことばっかりやっていてね、どうしようもないんです。女は常に賢くて、美しくて、強い。」

 宮崎流フェミニズムは、どの作品にも一貫してある。半面、馬鹿さ加減をおし通していく男のダンディズムも堂々とある。 「人間が愚かだなんてことは、いまさら言ってもはじまらないんです。ただ肝心なのは、どんなひどい時代でも、素晴らしいものはあるってことですね。バブルの時なんかより、僕はずっと今の方が好きですよ」

 「紅の豚」のラストソングは、私のオリジナル「時には昔の話を」でした。 「あの歌の中の『あの日の全てが空しい(むな)しいものだとそれは誰(だれ)にも言えない』という歌詞が僕はうれしかったですね」と、宮崎さんが言ってくださった。あれから四年、昨日発売になった私のオリジナル「愛の日々へのララバイ」は、私なりに贈るジーナからポルコ・ロッソへのラブソングです。

 今年は一体どんな年になるのでしょう。宮崎駿さんの描いて下さったこの登紀子の肖像のように、可愛くさわやかにしっかり見つめてみたいものです。(イラストは宮崎さん 題字は筆者)
(当該記事より)記事提供:出口正樹氏






1997年3月18日 朝日新聞 夕刊


宮崎アニメ新作「もののけ姫」製作費用億日、世界へ配給も

宮崎駿監督の新作「もののけ姫」の製作発表記者会見が都内で開かれた。太古の森が残る室町時代の山里を舞台に、民衆のために森を切り開こうとするエボシ御前と、山犬に育てられたもののけ姫・サン、神獣の首を狙う大侍らが三つどもえの争いを操り広げる歴史活劇。七月中旬に公閲される。

宮崎作品を製作してきたスタジオジブリと米国ディズニ−社との提携第一作として世界配給も決まっている。出資各社の代表からは世界進出を意識したあいさつが続いたが、「国際化とか何とかよりも、出来上がるかどうかが問題なんです」と宮崎監督。製作費は宮崎作品としては過去最高の二十憶円。セル画の枚数も十二万五千枚の新記録、「天空の城ラピュタ」の一・五倍に上るという。

「日本の時代劇はある種の先入観に縛られている。それを一から洗い直したい」。一昨年から絵コンテ作りを始め、「今日もこれから戻って色を塗ります」。それだけに、今後八本の長編アニメを準備中というディズニーについて「水準を維持してそんなに作れるはずがない」という辛口のコメントも飛び出した。

声の出演は主人公の少年アシタカが松田洋治、もののけ姫サンは石田ゆり子、エボシ御前に田中裕子。ほかに森繁久弥、美輪明宏、森光子…と、宮崎アニメならではのユ二−クな布陣。音楽は久石譲。挿入歌をカウンターテナーの米良美一が歌う。
(当該記事より)






1997年3月11日 報知新聞 朝刊


宮崎駿フィーバー マスコミ700人

○引退宣言出たがやめられない
日本のアニメ映画史上最高となる制作費20億円の超大作「もののけ姫」(東宝配給、7月中旬公開)の制作発表が10日、東京赤坂プリンスホテルで開かれた。 "アニメ界の巨匠"宮崎駿(はやお)監督(56)の5年ぶりのメガホン作品とあって、国内外から700人もの報道陣が殺到。配給収入目標は日本映画歴代1位となる60 億円、日本公開前から来春の世界公開が決定している。どこまでもケタはずれの会見の中、宮崎監督からは「これが最後の作品でいいと思う。」と引退宣言が飛び出した。

○イスが足りない
ホテル側が用意したイス500脚では足りなかった。立ち見の記者まで含めて取材陣は700人。邦画史上例のない大型会見は、中身も超ビッグだった。

「もののけ姫の成功で、宮崎監督は日本のスピルバーグになる」と制作総指揮を執る徳間康快・徳間書店社長(74)。「配給収入日本一を狙う」(同)の言葉どおり、目標は歴代1位の「南極物語」(83年)の配収58億円を上回る60億円。7月の日本公開と同時期に米ロサンゼルスで字幕を使っての特別試写会を開催。来春には、米、英、仏、独、ブラジル5カ国での世界配給も既に決定しているという。

宮崎監督主宰のスタジオジブリと米アニメ界の巨人ディズニーは96年に業務提携。今回はそのラインをフルに使っての世界戦略になるが、最終的には「もののけ姫」を世界20カ国で上映。世界配収で140億円を狙う形になる。

この日、発表された声優にもビッグネームがズラリ。主人公・アシタカに松田洋治、ヒロイン・サンには石田ゆり子。その他、田中裕子、小林薫、西村雅彦に超ベテラン森繁久弥、森光子まで日本中の人気俳優が顔をそろえた。英語吹き替え版に予定されるキャストは、さらにすごい。「ケビン・コスナーにマドンナ。マイケル・ジャクソンもいいね。」と徳間社長の"ラッパ"はとどまることを知らない。

唯一、元気のなかったのが当の宮崎監督。構想16年、製作期間3年の超大作とあって、疲れもピーク。「これを監督最後の作品にしたい。できることなら、もう引っ込みたい。」と"引退宣言"まで飛び出したが、徳間社長は「やめさせませんよ。まだまだ何本も撮ってもらう」と"続投指令"。ともあれ現在、80%まで出来上がった「もののけ姫」が、宮崎アニメの集大成となることは間違いない。
(当該記事より)






1997年1月1日 山陽新聞



日本アニメ、世界を駆ける

アジア、米国、欧州…。
日本生まれのアニメーションは世界中で親しまれ、ヒーロー、ヒロインが、吹き替えの各国語で活躍している。近年は若者から大人まで広い層に人気が拡大。豊かなストーリー性や高度な技術への評価も高く、「ジャパニメーション」という言葉も一般化した。ことし最大の話題、宮崎駿(みやざき・はやお)監督の新作「もののけ姫」のディズニーによる世界配給を中心に、日本アニメの人気ぶりを探った。

「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」などで内外の賞に輝き、日本アニメの水準の高さを象徴する宮崎駿作品。その宮崎監督の5年ぶりの新作「もののけ姫」が今夏公開される。上映時間2時間余、制作費20億円という"ライフワーク"だ。
この大作を米国アニメ界の雄「ディズニー」が世界に向けて配給する。既に配給先として米国、フランス、ドイツ、イタリア、ブラジルの5力国が決定した。さらに「となりのトトロ」のビデオを米国で販売したり、これまでの宮崎作品、高畑勲(たかはた・いさお)作品を世界配給する計画も進んでいる。

「ディズニー作品は70ヶ国以上へ発信している。アメリカ発世界行きです。日本アニメが世界市場で注目されている今、このネットワークに宮崎さんの素晴らしい作品を乗せて、日本発世界行きのパイプをつくることは世界のファンへの大きな贈り物になる」とディズニー側の星野康一・ブエナビスタホームエンターテイメント日本代表。

「もののけ姫」を製作するスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも「海外展開の場合、短縮版とか音楽変吏の要求がよくあるが、ディズニーは作品の独立性を大切にしてくれる。今は、良い作品を劇場にかけることに全力を尽くしている」と言う。


現代の問題 正面から挑む

「生きろ。」をキャッチコピーにした「もののけ姫」は、室町期の森を舞台に、若者アシタカ、もののけ姫サンたちの旅と戦い、生と死を描く時代冒険活劇だ。東京・小金井のスタジオにこもって、11万枚ともいう作画にかかりきりの宮崎監督は語る。
「色彩は激しく物語は厳しい。いわば大人のためのアニメになりそう。世界配給なんか気にしません。米国人には分かりにくいかもしれないしね。ともかく、今つくらねばならない映画をつくる。自分たちが抱える現代の問題に、正面から挑む作品にしたい」


We Love "Japanimation"

日本アニメは、世界の街や家庭で愛されている。各地の人気ぶりをのぞいた。

米 国
昨年8月、ビルボード誌のビデオセールス・チャートで、押井守(おしい・まもる)監督の「GHOST IN THE SHELL(攻殻機動隊)」が1位になった。「ジャパニメーシ∃ン」の名で親しまれる日本製アニメは今、カルト人気を超えた全米的ブームになっている。
翻訳・配給の最大手、セントラル・パーク・メディア社の推定では、日本製アニメの市場規模は5千万〜1億ドル。子供向けやギャグ中心の米国製に比べ、「内容が深く美術的にも優れているのが最大の魅力」という。

韓 国
根強い反日感情から日本の映画や大衆歌謡が禁止されている韓国だが、昔からアニメは例外だった。日本色が薄く、ある意味で国籍不明の作品が多いことが背景のよう。子供時代にテレビで見た「鉄腕アトム」などを韓国製アニメと信じている大人も多い。
最近はファン層が子供から成人へと拡大。「クレヨンしんちゃん」は「チャングヌン モンマンリンダ(いたずら小僧は止まらない)」の題で出版やビデオ化され、主婦層に人気。アニメ専門のケーブルテレビ局「ツニバス」では、放送作品の6割近い海外作品のうち、日本ものが7割を占める。

香 港
香港では、日本アニメは完全に娯楽として定番化。本港台テレビは「あずきちゃん」や「一休さん」を広東語の吹き替えで放送。銅鑼湾の超級市場(スーパーマーケット)では、宮崎監督の「紅の豚」のビデオが「飛天紅猪侠」のタイトルでワゴンで販売され、九竜島の映画館は「ドラえもん」や「未来少年コナン」などを上映したりしている。
香港島の繁華街ワンチャイのビデオ店「全獅影視超特店」も、「ディズニー」と「日本アニメ」の常設コーナーを設置しているほど。
(当該記事より)記事提供:来栖奈緒嬢







戻る rerurn