●「もののけ姫」ニュースクリップ:10
news clip of "The Princess Mononoke"

1997年10月31日 一般紙
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1997年10月31日 朝日新聞 夕刊


難解超えたもののけ現象 宮崎監督「作品評価とは別」

 配給収入が九十六億五千万円を超え、国内記録を更新したアニメ映画「もののけ姫」。観客動員数も同様で、すでに国民の一割が見た計算になる。三ヶ月余りでの記録達成に、関係者は「この上は千五百万人の動員を狙う」とますます強気だ。来年は米国での公開も検討されており、追い風はやまない。ただ、宮崎駿監督は「配給収入と作品の本当の評価は別」とあくまで冷静。独り歩きする作品に、意識的とも見えるほど距離を取っている。

 記録更新した三十一日午後一時、宮崎監督は、製作指揮した徳間書店の徳間康快社長や配給会社である東宝の石田敏彦社長と記者会見した。「最初は四十億円行けばいいと思っていた」という徳間社長。それが、学校の夏体み中の動員数は、一週間で常に百万人を超えた。何が動員につながったのか。宮崎監督への質問もそこに集まったが、「何も整理がついていない。自分の頭の変なところを開けてしまったような気がして、とても考えがまとまらない。これまでもありましたが、今回は特にその期間が長いんです」と、明確な答えを出さない。

 公開前は「子どもには難解すぎる」という評価が多かった。宮崎監督が所属するスタジオジブリにも「わからないからもう一回見に行く」という手紙が何通も来た。そうした難解さについて宮崎監督は、「作品はメッセージやテーマのためにあるのではない。一言や二言で語れるのなら映画をつくる必要はない。子どもが何を受け取ってくれたかは、もっと後になってはっきりするのではないか」と話す。だから、興行的に成功したことについても「それは社会現象であって、作品が本当に支持されたとは言えない」とつとめて冷静に構える。

 映面ジャーナリストの大高宏雄さんは「配給会社と企業とのタイアップも合めれば五十億円とも言われる宣伝費は邦画では確かに巨額だ。ただし洋画の話題作ではもっと高額なことも珍しくない。これだけの動員は、宣伝費を超えた何かがあったということ」と分析する。その「何か」についで映画評論家の白井佳夫さんは「宮崎監督はかけに勝ったのだ」という。「結論は出していないけれど、現代の混乱の答えをぎりぎりまで映像にした。答えはあるはずだという強烈な映像。それが受けた。日本人の意識も変わり始めた、そう考えないと説明できない」(当該記事より)







1997年10月31日 朝日新聞 夕刊広告








1997年10月31日 産経新聞


「もののけ姫」配収新記録 100億目前、96億5000万円

 宮崎駿のアニメ「もののけ姫」が、三十日までに観客数千二百万人、配給収入九十六億五千万円を記録。邦画、洋画を通じてこれまでの最高だった「E・T・」(昭和五十七年)の配収九十六億円を抜き、十五年ぶりに日本新記録を達成した。

 自然と人間のかかわりを壮大なスケールで描いた「もののけ姫」は、七月十二日の公開直後から映画の全盛時を思わせる大ヒットとなり、わずか六日目で百万人を突破。八月下旬には「南極物語」(五十八年)の五十九億円を上回って邦画のトップになった。配給の東宝によると「もののけ姫」は、現在も全国約百九十館で異例のロングラン上映中。来春まで大都市を中心に上映を続け、配収百憶円を目指すという。来年には欧米でも公開される予定。(当該記事より)







1997年10月31日 読売新聞


「もののけ姫」配収 過去最高 「現象」生んだ宮崎監督の執念

 宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」が、国内の配給収入記録を十五年ぶりに塗り替えた。洋画優位が続いてきた映画界で、邦画がトップに立ったことの異議は大きい。 文化部 多葉田 聡

 米映画「E・T・」(スティーブン・スピルバーグ監督)を約五千万円上回る配収新記録九十六億七千万円を達成した三十日、会見した宮崎監督は「自分でも何が起こったのか、よく分からない」と戸惑い気味に話した。

 「もののけ姫」は、「となりのトトロ」などで知られる宮崎監督の五年ぶりの新作。製作費は20億円を超え、製作総指揮の徳間康快・徳間書店社長は、七月の公開当初から邦画最高の「南極物語」のの配収五十九億円を目標に掲げていた。

「E・T・」記録抜く
 しかし、今夏はスピルバーグ監督の新作「ロストワールド/ジュラシックパーク」を上回ると予想した関係者はほとんどいなかった。 だが、封切り後約一ヶ月で方が記録を更新。「E・T・」の記録も三ヶ月半でで抜さ去った。千二百万八近い観客が映画館に足を運んだ「もののけ現象」とは何だったのか。

 映画評論家の品田雄吉氏は「簡単に割り切れる物語ではなく、子供には難しいと言われたことが、かえって大人の興昧を引いた」と語る。物語は、オオカミに育てられた少女や動物と、森を切り開き、鉄を作る人間の戦い。しかし、人間たちの社会は弱者にも働く場を与えるなど、必ずしも悪として描かれていない。人間が自然を破壊するという単純な図式に収まりきらない奥深さが幅広い年齢層の心をとらえ、繰り返し見る熱心なファンも運だというのが、品田氏の見方だ。

アニメ文化の成熟
 また、映画評論家の佐藤忠夫氏は、「ジャパニメーション」という言葉で世界中に知られる日本のアニメ文化の成熟ぶりを指摘。「漫画やアニメで育った世代が、声を大にしてアニメの時代だと言える状況になった。一つの文化が盛り上がる時の勢いや祝祭的な気分を感じる」と語る。

 こ二のほか、娯楽性と質の高さを兼ね備えた作品を着実にヒットさせてさた「宮崎ブランド」への信頼や、監督自身が「最後の作品になってもいい」と"引退宣言"とも受け取れる発言をしたことが、ファン心理に一気に火をつけだ−などが考えられる。

 だが、監督本人が戸惑っているように、これらを考え合わてても説明しきれないのが「もののけ現象」の最大の特徴ではないか。そのなぞを解くがぎは、難解なテーマをも含んだ壮大な作品を観客に迎合することなく、思うままに作り上げた監督の執念だと思えてならない。

 今年は、国際映画祭での相次ぐ受賞など、邦画が久しぶりに脚光を浴びている。昨年、一億二千万人を割り込み、過去最低となった映画人口も増加すると予想される。しかし、ヒットしたのは一部の作品に過ぎず、全体としては興行的に苦しい状況には変わりはない。

 邦画界が、さらに活気づくためにも、「もののけ現象」の意味を改めて問い直す必要がある。(当該記事より)







1997年10月31日 毎日新聞


E・T・そこにけ「もののけ姫」配給収入96.5億円で日本記録

 この夏公開されて大ヒットしたアニメ映画「もののけ姫」(宮崎駿監督)の配給収入(映画会社の収入)が30日の集計で96億5000万円に達し、1982年に「E・T・」(スティーブン・スピルバーグ監督)が記録した96億2000万円の日本記録を更新した。この日、東京都内で会見しだ宮崎監督は予想外の大ヒットに戸惑いながらも、「よかった」と笑顔を見せた。

 「もののけ姫」は7月12日に公閲され、子どもから大人まで幅広い客層から支持された。東宝によると、30日までの観客動員数は1170万人、興行収入(入場料の総額)は161億1600万円。いずれもすでに日本記録を更新しており、これで日本での映画の興行記録をすべて塗り替えた。

 「もののけ姫」のヒットは関連商品にも及び、徳間書店などによると、解説書やコミックなど書籍は合計約250万部約15億円、主題歌などのCDも約90万枚を売り上げたという。

 この日の会見には宮崎監督をはじめ、石田敏彦・東宝社長、徳間康快・徳間書店社長が出席。宮崎監督はヒットについて「何が起こったか自分でもよく分からない」と戸惑いながらも、顔をほころばせた。「もののけ姫」は来年に欧米での公開も予定され、国内でも3月までは上映が続く。

 映画評論家の白井佳夫さんは「『もののけ姫』はこれまでの宮崎アニメと違って分かりにくい。それでもヒットしたのは、監督個人の間題意識に、観客が共鳴したからではないか。こうした、いわば"個人の映画"のヒットは、日本映画の新しい時代の始まりを予兆しているのかもしれない」と話している。【勝田友巳】(当該記事より)







1997年10月31日 朝日新聞 朝刊


「もののけ姫」E・T・抜く

 宮崎駿監督のアニメ大作映画「もののけ姫」が30日、「E・T・」の持つ国内の配給収入記録96億2000万円を抜き、1982年以来15年ぶりに記録を更新した。観客動員数は1170万人で、これも「E・T・」を超えた。

 「もののけ姫」は7月12日に公開され、邦画では過去最高だった「南極物語」(83年)の配給収入59億5000万円を上回るなど、大ヒットを続けている。配給会社の東宝は8月の中間決算で過去最高の経常利益をあげており、年内のロングラン上映も決まっている。(当該記事より)







1997年10月31日 日経産業新聞


「もののけ姫」配収1位 96億5000万円、「E・T・」抜く

 東宝は三十日、夏休み映画として配給した長編アニメーション「もののけ姫」(宮崎駿監督)の配給収入が九六億五千万円になり、日本で公開した作品として最高を記録した。北米での公開は来年夏になる見通しで、当初計画よりも延びていることも明らかにした。

 七月十二日の公開以降、十月二十九日までの百十日間で、観客動員数は千百七十万四千二百二十五人となり、入場料から算出する興行収入は百六十一憶千六百五十一万四干円に達した。このうち、約六○%が東宝の配収となる。「E・T・」は再上映を含んだ記録だったが、「もののけ姫」は公開以来、約三ヶ月というハイペースで新記録を打ち立てたことになる。

 東宝は正月興行以降、大都市を中心に春休みまでのロングラン上映を決めた。最終的な観客動員数は千五百万人を目指す。北米での上映はディズニーの傘下、ミラマックス・フイルムズ(ニューヨーク)と組んで進めている。海外作品の展開に強い会社として知られ、最近では「Shall we ダンス?」も配給した。

 異例のヒットについて宮崎監督は、「映画を見て、子供たちが何を感じ取ってくれたのか分かるようになるのは、もっと(時間が)たってからになる」と話した。(当該記事より)







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