1997年12月20日 スポーツニッポン
海外版「もののけ姫」 ディカプリオ主役 ブラピと邦画で"夢の初共演"
日本で初めて配収百億円を突破した大ヒットアニメも(監督 宮崎駿)の海外公開バージョンで、主人公アシタカの声をレオナルド・ディカプリオ(23)が吹き替えることが19日、明らかになった。配役は未定だがブラッド・ピット(33)の出演も決定し、当代きっての人気スターの"共演"が、日本映画で実現する。
七月に全米公開
ディカプリオはきょう20日公開の「タイタニック」、ブラピは公開中の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」を引っ提げ、それぞれ11,12月に来日。負けず劣らずの旋風を巻き起こしていったが、その二人が宮崎作品で夢の"共演"を果たす。
スティーブン・スピルバーグ監督(50)の「E・T・」を抜いて日本最高配収を樹立、現在もロングラン中の「もののけ姫」。製作段階からウォルト・ディズニー配給による欧米公開が決まっており、制作総指揮の徳間康快・徳間書店社長(75)は「著名な俳優が声優をする」と宣言し、ケビン・コスナー(42)にも出演依頼をしていたという。
日本でも森繁久弥(84)、森光子(77)ら大御所が声優に挑戦して話題となったが、徳間社長によれば、英語版はもののけ姫のサンと運命を共にする主人公のアシタカ役でディカプリオと契約。ブラピやクエンティン・タランティーノ(34)の出演も決まり、キャラクターの選定に入っているという。
豪華プレミアも
年明けから、主要キャラクター一人づつのアフレコが行われ、七月下旬に全米で封切られた後、ヨーロッパ各国で公開される予定。徳間社長は完成の際に、ワシントンでクリントン米大統領夫妻を招いてのプレミアを行う以降も持っており、ディカプリオやブラピら"出演者"が出席する可能性も。
さらに徳間社長は「吹き替え版に字幕を入れて、日本で再公開するつもり」と気炎を上げており、強力な援軍を得た「もののけ姫」ブームは、来年以降も続きそうだ。(当該記事より)
1997年12月18日 大阪朝日新聞 夕刊
朝日ベストテン映画祭 日本映画1位もののけ姫 圧倒的な映像とスケール
第四十回「朝日ベストテン映画祭」(朝日新聞社主催、国連協会関西本部後援)の審査がこのほど、朝日新聞大阪本社であった。去年十二月からこの十一月までに関西で公開された作品を対象にベスト10を選んだ結果、日本映画は宮崎駿監督の「もののけ姫」、外国映画はカーマヒントン、リチャード・ゴードン両監督(米国)の「天安門」が一位となった。入選作のうち十二本を来年二月七日から大阪・中之島のリサイタルホールで上映する。
【日本映画】
1もののけ姫 2誘拐 3萌の朱雀 4Lie Lie Lie 5うなぎ 6鬼火 7ラヂオの時間 8現代任侠伝 9身も心も 10東京夜曲
【外国映画】
1天安門 2秘密と嘘 3ファーゴ 4大地と自由 5シャイン 6クラッシュ 7トレインスポッティング 8スリーパーズ 9バウンド 10ロミオ&ジュリエット
宮崎監督「もののけ姫」は嶋田委員を除く全員が高得点を入れ、ほかの作品を大きく引き離した。アニメが一位になったのは一九八八年の宮崎監督「となりのトトロ」以来で二回目。「アニメだが、映像的に圧倒された。いわんとしたことをうまく描いている」(松永委員)、「人間や社会を滅ぼし、傷つけるものへの怒り、警告が込められ、日本だけではなく世界にも共通するテーマを描いている」(西川委員)、「日常生活を描いている邦画が多い中で、視点の違い、スケールの大きさを感じた。だからこれほどのロングランになったのだろう」(津田委員)などと絶賛する意見が多かった。
今年はカンヌなどの国際映画祭で四本の日本映画が賞を取った。劇場で未公開のため選考の対象外の北野武監督「HANA−BI」を除いて、三作品すべてが入選した。仙頭(旧姓河瀬)直美監督「萌の朱雀」は三位、今村昌平監督「うなぎ」は五位、市川準監督「東京夜曲」は十位。
「萌の朱雀」は「演出はやや稚拙だが人間を等身大で淡々と描いているのがいい」(武部委員)といった声のほか、俳優に素人を起用したことが新鮮で、成功したとの評価もあった。「うなぎ」については人間の内面をえぐって、どろどろしたものを描いてきた今村監督のこれまで・フ作品に比べると、やや不満との声が出た。
アクション映画が三本入選したのも珍しい。二位の大河原孝夫監督「誘拐」は評価は高かった割に興行的には振るわなかった。審査でも「娯楽作品としてうまく作っている。産業廃棄物の問題を背景に社会的な視点と映像が結びついている」(嶋田委員)などの意見が出た。望月六郎・ト督「鬼火」、降旗康男監督「現代任侠伝」はいずれもやくざ映画。かたぎになろうとしたが、またやくざの世界に戻る男たちを描く。次点は「傷だらけの天使」。
子供の敏感な反応に驚き
宮崎駿監督の話
日本の映画記録を塗り替えたと言われるがあまり興味はない。なぜヒットしたのか、自分たちの映画の意味はもう少し時間がたたないと分からない気がする。私はいつかは作らなければいけない映画だと思ったが、客が入らない恐れもあった。幸運に恵まれたと言うしかない。子供たちが敏感に反応してくれたのは驚きだった。
審査委員(敬称略)
フリージャーナリスト 嶋田邦夫▽会社員 津田裕子▽自営業 松永節▽キャスター・ライター 西川敦子▽フリーライター 武部好伸▽朝日新聞学芸部 小山竜彦
(審査員は今回一新した。審査は、各委員が選んだベスト10の作品を点数にまとめ、これを参考に合議して順位を決めた)
読者投票のトップも「もののけ姫」
邦画、洋画を問わない読者の投票に基づく「ベストテン読者賞」には百七通の応募があり、一位はやはり「もののけ姫」だった。上位五本は次のように決まった。
1もののけ姫 2身代金 3MISTY 4うなぎ 5イングリッシュ・ペイシェント
(当該記事より)記事提供:出口正樹氏
1997年12月20日 朝日新聞 夕刊
「貧乏になりました、お陰様で」−−いたずらっぽい目で笑いながら言う。映画「もののけ姫」の主題歌を歌い一躍有名になった。テレビ出演などが増え、衣装代やタクシー代がかさむからだ。頼みの印税が入ってくるのは来年になる。「まあ、自分への先行投資と考えています」
高く、柔らかく、澄んだ声を響かせるカウンターテナーのクラシック歌手。ファルセット(裏声)を自在にあやつり、テナーよりも高い音域を歌う。ドイツ歌曲から黒人霊歌、ミュージカルナンバーまでレパートリーは幅広い。CDもすでに三枚出した。
音大時代は首席。理解のない教授から「おかま声」と教室で罵倒(ばとう)されたこともあるが、「これが自分にとっで一番自然な表現」という信念は揺るがない。ドイツ語を学ぶため来年は一年の半分をドイツで過ごす。(当該記事より)
1997年12月5日 朝日新聞
子供向け・小粒が売れました 97年ヒット商品番付
住友系の経営コンサルティング会社、日本総研ビジコン(本社・東京)は四日、「97年のヒット商品番付」=表=を発表した。高額品が姿を消し、代わりに子供向けや小粒な商品・サービスや流行が上位に名を連ねた。
番付は、出荷台数や売上高などを参考に、話題性や今後の成長性を加味して決めている。東の横綱「たまごっち」は、関連商品を合め四〜九月で二百四十九億円を売り上げた。西の横綱にあげられたアニメ映画「もののけ姫」は、配給収入百億円を突破した。日本総研ビジコンは今年の特徴について、子供志向▽携帯牲▽育つ過程を楽しむ▽憩いや安心感、の四点を指摘している。(当該記事より)
97年ヒット商品番付 東 西 たまごっち 横綱 「もののけ姫」 携帯情報機器 大関 ポケットモンスター デジタルカメラ&ビデオカメラ 関脇 失楽園 小室ファミリー 小結 小顔化粧品 Gショック 前頭1 チャイドル デジキューブ 同2 キャンドル・イン・ザ・ウインド キシリトール入りガム 同3 ねるじぇら 少年H 同4 サプリ キティちゃんグッズ 同5 割引サービス ガーデニング 同6 高付加価値白物家電
1997年12月4日 日刊スポーツ新聞 第1面
「もののけ姫」裕次郎賞
配給収入100億円を超える大ヒットとなった宮崎駿監督(56)のアニメ「もののけ姫」が石原裕次郎賞に輝いた。第10回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛) が3日、決定し、社会的現象となった「もののけ姫」が石原裕次郎賞、監督賞の2冠を獲得した。28日に東京・ 紀尾井町のホテルニューオータニで行われる表彰式で裕次郎夫人のまき子さんから賞金300万円が贈られる。
壮大スケール「自然VS.人間」 来年は世界で公開
インタビューのために訪れた東京・小金井のスタジオジブリには、「となりのトトロ」「紅の豚」など 宮 崎アニメのぬいぐるみ、グッズが所狭しと置かれていた。「賞もヒットも、長くやっていれば、こういう こともあるんだな、という感じですね」。宮崎監督は顔をクシャクシャにして受賞の喜びを語った。真っ白の髪とあごひげを伸ばした風ぼうは、周囲のぬいぐるみたちの中に溶け込んでいた。
「もののけ姫」は今年7月に公開されて、現在まで配給収入105億円、1300万人の観客を動員する空前の大ヒット。映画界の枠を超えて社会的な現象となった。今年は神戸の児童殺害事件、山一証券廃業など暗いニュースが相次いだが、「もののけ」ブームは明るい話題の筆頭格だった。サッカー日本代表の岡田武史監督(41)もホームのカザフスタン戦に圧勝した翌日、マレーシアに渡る前の1日だけの休日に、子供を連れて 「もののけ姫」を見に行ったという。
宮崎監督ここまでヒットした理由について「決して肌触りの優しい作品でもないし、分かりやすい作品でもない。この作品で扱っている自然と人間の対立という問題は永遠に解決不可能なんです。しかし、子供たちは解決できない問題を、言葉や理屈ではない部分で見てくれた」と慎重に言葉を選びながら分析した。
「もののけ姫」は宮崎アニメの区切りの10作目に当たる。実は宮崎監督が学生時代から40年近く構想を抱いていた時代劇だったが、あまりにスケールが大きすぎて実現に至らなかった。「体力、気力を考えたら、『もののけ姫』をやる最後のチャンス」と映画化を決断したのは3年前。アニメ史上最高の製作費24億円を投入し、宮崎アニメの集大成として取り組んだ。
生きるための森を切り崩していく村人たちと、森の動物たちの対決を描いた物語。「自然VS.人間」はこれまでの宮崎アニメに一貫して流れるテーマだが、「『もののけ姫』では、この問題を作品のど真ん中に置こうと決意しました。大変なことになると思ったけど、それをやらなければスタジオジブリの10年間は単なる商売だったことになってしまうと思った」と振り返る。
製作は丸2年を要した。作画数は通常のアニメの数倍に当たる14万枚。宮崎監督はスタジオジブリに泊まり込んで100人を超えるアニメーターたちの陣頭指揮を執った。肉体的、精神的に経験したことのないハードな日々が続いた。宮崎監督は「当時の製作ノートをパラパラと見ていると『逃げるな、逃げるな』と自分で書いているんですね。これで赤字を出したら、もう作品は作ることができないと思った」と言う。文字通り背水の陣だった。
選考会では作品の壮大なスケールと、自然と人間というテーマをストレートに投げかけた姿勢が高く評価された。宮崎監督は「コケたときにがっかりしないように、ヒットしたときにあまり喜ばないように しているんです。でも、これで作品をまた作ることができます」と黒ぶちメガネの奥の目を細めた。 「もののけ姫」は米ディズニー社の配給で来年、世界30カ国以上で公開される。(当該記事より)
1997年12月1日 報知新聞
報知新聞 映画賞(特別賞)受賞 史上最大のヒット「もののけ姫」
配給収入100億円強、観客動員が1235万人(11月26日現在)。「E・T・」が守ってきた興行記録を15年ぶりに更新し、日本映画史上最大のヒットを記録した宮崎駿監督の「もののけ姫」が特別賞に決まった。
「『もののけ姫』を作ったことで脳みその変なところを開けてしまったんです。これまでの例だと回復するまで6か月はかかりますね」と宮崎監督。というわけでアニメ映画の巨匠は現在、長野・八ケ岳のふもとの山小屋で静養中だ。
「となりのトトロ」で監督賞を受賞して以来の報知映画賞受賞に「この作品はまとまりの悪さとか完成度などで悪い点を持っているのに、お客は入ってくれるし、賞ももらえるし、長くやっていると、いろいろなことがありますね」と宮崎監督。
「もののけ姫」公開時には「宮崎監督、引退宣言」という活字も躍った。「映画界から全部、手を引くなんて全く思ってません。何をやるか、随分前から考えていることがあるし、一番早くて2000年には何らかの形をね」ファンにはうれしい"引退撤回宣言"も出た。
すでに来春の全米公開も決定。英語版吹き替え用に大物声優の選出に入っている。「本当のこと言って、100億円なんてどういう数字か、わからないんです。最大の功労者は私じやなくて、プロデューサーの2人、徳間康快さんと鈴木敏夫ということはハッキリしてるんですが…」最後まで周囲を立てる宮崎監督だった。(当該記事より)