富士見高等学校(6)


 いよいよ、富士見高校の最終回になりました。大学に行く目的を持ち、自分にふさわしい大学や学部を十分に検討しているしっかりした高校生たちは、世界と日本、自分と世界についてもしっかり考えているようだ。国際関係の仕事に就きたいという高橋身奈さんの話から、議論は白熱しました。さて、みなさんは日本をどう考えているのでしょうか。

高橋 マンモス系の大学へ行くと、いろいろな人がいるから考えが変わるかもしれないけど、小人数だと変わらないんだよ。国際関係ですごい有名な大学があるんだけど、15人くらいで初めから英語で討論するんだって、すごくプライドが高くて。

武藤 仲間意識も強くて?

高橋 1クラス15人しかいないから、固まっていて、討論の勉強ばっかりしている。普通の大学が4年で習う英語の量の3倍の英語量を2年間でやるんだって。その勉強は放課後にやるから、バイトはできない。バイト禁止なんだよ。大学なのに。ほかの大学と交流がないからプライドも高いし。

武藤 高そう。

高橋 絶対、日本の批判するしね。

武藤 英文読んでもそう。アメリカは素晴らしい。日本駄目。私には全然よく分からない。

「集団で固まってるよね」

−−日本は駄目だと思いますか

武藤 何か日本は集団で固まっててね。

高橋 そうそう、悪いことしか言われないものね。

武藤 日本はすごい、なかなかいい国だと思うんだけどな。

高橋 でも親とかと話してて「だから日本は駄目なんだよ」って言っちゃう時ない? 私がそういうこと言うと、親に「だから日本的な考え方は駄目なんだよ」って言われる。

武藤 私、アメリカ嫌い。

庵野 アハハ。

武藤 嫌いになっちゃった。

高橋 国際関係論やっている人ってアメリカ嫌いでしょ。

武藤 アメリカって、人の批判ばっかりやっていて、自分の反省しなくない? 俺が一番だって感じじゃない? いつも世界でトップだって。

平田 私も好きじゃない。今、日本の景気は良くないでしょ。でも日本がすごい景気がいい時にアメリカが「日本は良すぎるから」って言って、日本が景気が悪いとき助けない。「日本が悪い」って言うだけで。何なの? あの国は? って思う。

一同  (笑い)

武藤 あの国はって感じだよね。

高橋 でも日本の経済のシステムはかなり良いと思う。

武藤 それはそうだよね。

高橋 でもアメリカ人でもない、日本人でもない人が書く経済論とか読むと、日本の経済のシステムは良くないんだなって分かる。

平田 ただ悪い悪いって批判するだけじゃなくて、だったら、なぜ悪いのか、どうすればいいのかって言うことを、そこまで明確に言えばいいのに、悪い悪いって言ってるだけで。

柴崎 でもこういう社会には、なるようにしてなったと思わない? 昔の日本の性質から言えば、日本人がアメリカの社会とかに対応できるとは思えない。日本には終身雇用制とか安心できる制度や、向こうにもない良さもいっぱいあると思うんだよね。だって安定してるじゃない。

高橋 日本だけだったら、それで良かったんだけど、国際社会になって駄目になっちゃったんだね。

柴崎 やっぱり日本だけ、ぬるま湯でいられるところもあるしね。

高橋 だいたい国際関係論って扱うのが欧米じゃない? でも中央大学の総合政策科はアジア重視なの。それがすごいと思った。

「これからはアジアです」

庵野 これからはアジアですよ。近所と仲良くした方がいいですよ。とりあえず上の年代は欧米。今、50歳代ぐらいの人が欧米なんですよ。戦争で欧米に負けた反動で、何かと言うとアメリカ的な生活をやりたがる。なんかヨーロッパに行ってみたりとか。

高橋 そういう年代の人が書いた論文とかあると、そうなんだなって思う。

庵野 アメリカ至上主義みたいなものがある。でも僕らぐらいの年代になると、ドメスティックっていうか、国内的になってくる。山口の田舎の方にいたから、テレビとかで見る東京が、すごいところのように見えてしまうんですよ。だから東京っていうところに憧れて。大学は東京に行こうとかね。

「今は地方が超人気だね」

高橋 今、反東京主義だよね。

庵野 今、反動がきて地方都市の方に目がいってる。

武藤 地方、超人気だよね。

高橋 みんな地方好きだよね。

菅沼 でも地方には仕事がないとか言うね。IターンとかUターンの仕事の仕事の雑誌見ていると、全然ないんだよね。

(毎日中学生新聞9月17日号より転載)


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