富士見高等学校(5)


 将来就きたい仕事、やりたいこと、職業観について突っ込んだ話が続きます。富士見高校の面々は、将来やりたいことを考え、それにふさわしい大学、学部は何か、しっかり調べています。庵野監督もそれに「今までとちょっと違う」と感じたようです。何が彼女たちをそうさせているのでしょう。

高橋 私はずっと弁護士になりたいって思っていたんですけど、弁護士になるまですごい時間がかかる。司法試験に合格するのが28歳だとして、それから2年間、ちゃんと働くのが30いくつからだから。

柴崎 30歳って絶対平気だよ。私、最近ね「則天武后」の本を読んだんだけど、則天武后は30から42の間で、子供8人ぽんぽん産んで、その後、80歳で若い男の愛人3人持っていたもん。本当に女って30からだなって思った。今すごい30からの自分に期待している。

一同  (笑い)

高橋 期待はしてるよ。ただ、それって、自分でお金持って自立するのが30からってことになるんだよ。

柴崎 全然平気じゃない?

高橋 そこまでだれに養ってもらうの? 弁護士はむちゃくちゃ勉強しなきゃいけないから、あんまり働けない。そこまで自分が勉強できるかどうか自信が持てない。あと最近、国際関係の仕事がしたいなって思ってるんですよ。

庵野 インターナショナルな?

高橋 国際公務員とか。でも、大学院に行かないといけなし、給料がめちゃくちゃ少ないんですよ。それでいて、2年契約だから、そこで切られたらどうなるか分からないし、狭き門だし。

柴崎 そういうことできる人だったら、それで切られても、ほかのことができそうじゃん。けっこう駄目だと思っても、あきらめないでやると、何とかなるなって思っちゃうんだよね。

「もらえる給料も考える」

高橋 私は、やりがいのある仕事それはそれでいいんだけど、お金もらえないと職業として意味がないと思う。

柴崎 そこまで考えてるんだ。

高橋 だから国際公務員じゃ、やってけない。

庵野 給料安いって話だからね。

高橋 大学院に行って、留学もしないといけないからお金もかかる。親にそこまでお金出させた上に、私がそんなに稼がなかったら意味がない。

−−みなさん、大学や将来の職業についてよく調べているんですね。

高橋 ええ、調べてますよ。

武藤 みんな詳しいですよ。

高橋 情報を公開し合ってます。どこの大学のどこの学科がいいとか。

「高2の時から調べていた」

−−町田さんと平田さんは2年生ですが、そういう話をしますか。

町田 決めろって先生がうるさい。

高橋 ホント。友達とかの志望校はほとんど知ってるしね、学部の話をよくするよね。 どこの学部がいいとか就職に有利とか。

武藤 私も高2から調べていた。

高橋 友達がすごい、いい情報源になるよね。

町田 3年生に比べたら、2年生はまだ、自分の実力が分かってないから、理想が高い。

武藤 3年生も分かってない。(笑い)

高橋 大きな夢見てるよね。

町田 みんなすごい夢が大きくて、恥ずかしくて言えない。

武藤 私は言える。

町田 どの夢も自分の偏差値からはかけ離れたところだから。だから言えない。

武藤 かけ離れてるよ。

−−最近は将来、何になりたいと決めている人、大学にちゃんと目的を持っていく人が多いですね。

一同  それが信じられないねー。

武藤 受験勉強して何のために大学行くの?

高橋 無理やり目標作っているところがあるよね。昔も私も目標がないと勉強できないから、そのために目標作って、「私はやりたいんだ」って思い込ませて勉強してる。

武藤 今はホンモノだよ。

庵野 公立の男の子だと、大学行ってとりあえず大学行って、それからやりたいこと探す。

武藤 ウワァ!!

高橋 それは違うよ。

武藤 大学は勉強するところだと思うから、絶対そういうの許せない。

庵野 大学は何をやりたいか見付けるところって言うのは許せない?

武藤 それでもいいと思いますけど。

庵野 高校ではそこまで決められないってことですか。

高橋 でも大学って分野がいろいろ分かれちゃうじゃないですか、だからあやふやだと、絶対、就職の時や、やりたいことが見付かった時に後悔する。それなりに決めとかないと。

武藤 考えはまとめておかないと。

柴崎 でも考えがけっこう変わっちゃうとかって言うよ。

(毎日中学生新聞9月11日号より転載)


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