神奈川県立生田高等学校(3)


 前回は、エイズ、薬物、援助交際に対する考え方を語ってもらいました。庵野監督は10月からスタートするアニメ「彼氏彼女の事情」の脚本を執筆中。庵野監督を悩ませている問題があります。生田高校の面々も悩みます。

庵野 僕は中学とか、高校のころから、少女マンガ読んでいたんですけど、当時、ほとんどセックスって出てこなかったんですよ。ちょっと進んだマンガがセックスを取り上げてだけど、それでもセックスにいくまでの課程が相当長くて、なんか、要するにやってしまうのが最後のクライマックス、みたいな話が多かったんです。でも、最近の少女マンガ見てるとポンポンしてしまうのね。

一同 アハハ。

庵野 なんかこう、盛り上がりも何もなくこう、ちょっと勢いで寝てしまう。その前の文学的なものでは『潮騒』のように、男女が裸になって「たき火を越えて来い」と言って、それを乗り越えて行く。当時はそんなドラマ性がないと、男と女は寝ちゃいけないみたいなのがあった。最近の高校生とかってそんな感じなのかな、なんかエッチをするって言うのにそんなに抵抗がないのかなって。

鈴木 すべてがそうじゃないけど。

坂上 抵抗のない人がどんどん増えていると思う。

庵野 好きならいいやって思うの? お金もらえたり成り行きでも?

鈴木 成り行きはむかつく。

「同じ年の友達が母親に」

小田 私の同じ年の友達が妊娠して、“できちゃた結婚”したんです。初め聞いたときは驚いた。私たちはこれから職業に就くなりなんかしようとしてるわけですが、友達がそのころ母親になるって言うのが、すごいなって思った。でも、援助交際とか、世間で言われてるほど盛んじゃないと思う。テレビや雑誌は繁華街で取材してるじゃないですか、繁華街に行けばそういう人がいるって分かってるから行くわけで、本当なら高校生全体を取材するべきだと思う。

庵野 でもテレビでやると暇なおばさんが見てるんですよ。 「エヴァンゲリオン」の時もエッチ場面がいけないと言って、暇なおばさんがテレビ局に抗議の電話をしてきたんですよ。

宮負 あれだけでですか。

庵野 そう、高校生のセックスなしの恋愛って、なんかリアリティ出ないなー。これからは頭に小学生は見ないでくださいって入れようかなって思う。

宮負 今度の「彼氏彼女の事情」の主人公は中学生なんですか。高校生なんですか。

庵野 高校一年でね、原作では最近エッチしちゃってるんですよ。それも何の盛り上がりもなく突然やってしまった。これをどうドラマにすればいいんだろうってね。そういうもんなのかねー。サーッてやっちゃうのかね。

宮負 監督はどう思っていますか

庵野 困ったなー。主人公の男の子はドマジメなタイプなんですよ、もっと女の子を大事にするかなって思っていたらあっさりやっちゃってね。俺が思っていたキャラクターと違う。最近はそうなんですかね。さっさとやっちゃうのかね。

宮負 何とも言えないですけどね。

庵野 まずやってから考える人もいるけどね。

「純愛したいですね」

−−純愛したいと思いますか?

鈴木 何回か好きになって、この子しかいないって、毎回思うんですけど、違った。

宮負 純愛したいですね。でも、結婚しないと純愛じゃないんですか。

庵野 純愛も個々で定義が違う。でもクレームつけてくるようなおばさんは、純愛したことないんですよ。今の子供に不満があるから、そういう暇つぶししてるんですよ。自分に不満ないけど環境に不満持ってる。自分が悪いの棚に上げて、しまいにはアニメのせいにするわけですよ。巻き込まれると思わなかった。そういうおばさんほど、声がでかい。暇なほどテレクラがわりに、テレビ局にかけてくる。

宮負 おじさん、おばさんの時代と比べられても困るって感じ。

庵野 愛ってなんなでしょうね。

鈴木 基準って言うか概念がよく分からない。

小曽根 何が「愛」で何が「好き」なのかよく分からない。

宮負 大好きだと思うのが愛だよな?

小田 現代国語でやったけど結局分からずに終わってしまった。

庵野 一般論で言うと時間がバロメーターになるのかな。

(毎日中学生新聞7月30日号より転載)


[MENU] [BACK]