東京都立西高等学校(1)


 3校目の訪問校は東京都立西高校です。前回の戸山高校に引き続き、個性的な参加者がいっぱい。自己紹介の後、美大を受けるという 池田さんの話からスタートし、大学受験の話で盛り上がりました。

池田 私は、2年の夏休みくらいまでは、すごく親が禁止してたので、私大の文系を受けるつもりだったんです。けど、夏に奮起して、それから美大受けようって思った。でも周りの友達からは、それだけで「すごい」とか「頑張ってね」みたいな感じで言われる。

高木 インド哲学科でも「ええチ?」て言われるよ。

「大袈裟に扱わないで」

池田 そう、ちょっと、なんかさ、普通学者になるとか、みんながそういうのを目指しているのと同じことで、私はデザイナーに一番なりたいんですけど、なりたい職業がみんなと違って、大学もちょっと専門ぽいところに行くだけなのに。芸術系だけ「すごいねー」とか大袈裟に言われると、そんなん、べつに特技とか、好きなもの、これしかないだけないんだけどって思う。あんまりすごい、すごいとか言われて、大袈裟に扱われるのはちょっと違うぞ〜って。進路面で普通だぞって言いたい。

上原 それはうちの学校だからじゃないの? うちの学校は、普通の大学へ行く人が多いから、ねえ、だけど、そんな美大行きたい奴なんていっぱいいるんだからさ。

池田 だから、まあ、そうなんだよね。絵の塾に行ってるんですけど、そこはそういう人が寄せ集まっているんで、みんな別にそういう会話は、普通にしているんですけど。

長森 だからそういうことじゃないの? 周りに普通にいっぱいいればすごいとは思わないけど……。

池田 一人がすごいって言われるのいや。道行くたびに、大きなカルトンバックもって、こうパネルとか入れて歩いていて、みんなが教科書を鞄に入れてくるのと一緒なのに。

庵野 市民権を得たい?

池田 そうなんですよね。なんか。

長森 特殊な能力がいることだからじゃないの? 他のが能力いらないとは言わないけど。

池田 特殊な能力なくても、私なんか才能あるかないか分からないけど努力しかないから努力している。普通の人と一緒じゃん。

高木 俺も大学行きたいのよ。だけど音楽もやりたいのね。一つの短大、ジャズ理論科って、ところがあるって言われて、短大2年であとの2年はアメリカのバークリーに留学する。でも授業料が高い。美術と同じくらい。それに私の本職はジャズじゃないから。

池田 芸大受ければいいじゃん。

「芸大に素人は入れない」

庵野 あそこは素人は入れない。

高木 え? 素人入れない?

庵野 入れない。ジャズをやっていたり、バンドをやってるくらいじゃ入れない。

上原 だから、夢がある、やりたいことがある、そういう人は、別に専門とか行けばいいわけよ。みんな、夢なんか、ねーんだよ。

池田 夢はないの? 就職のためなの?

上原 なんとなくじゃないの?

−−他の人は

川上 将来、今、決めているフは美術系。デザイン科。

池田 うわぁ一緒だ。

川上 一応美術系。私立はいやです。

池田 私が今一番行きたいのは多摩美のグラフィックデザイン科ですけど。

庵野 最近の多摩美は分からないな。

池田 私の通っている塾は、現役で私大に受かる人が多いって言うのですごい評価を受けている塾なんですけど、まあ芸大とかもチャレンジ受験はすると思うんですけど、全然、現役生が太刀打ちできるところじゃないじゃないですか。浪人して、浪人生の方が、絵なんか絶対うまいんだから。芸大とかだと学科見てくれないで絵だけだ。実技だけになっちゃうんで、そうなると現役の入る余地は、なくなっちゃうんで。

庵野 芸大はね、一見さん、お断りだからね。まあ2、3浪して来なさいって。よっぽどじゃないと。

池田 でも家の親に、1年目しか美大は受けさせてくれないって言われていて、だから1年目で受け入れてくれるところには結局行ってしまうと思うんですけど。武蔵美とか多摩美とか日芸とか。

庵野 武蔵美、多摩美はまだ厳しいから……。

池田 そんな夢をつぶすようなこと言わないでください。

上原 現実だよ。

(毎日中学生新聞6月11日号より転載)


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