東京都立戸山高等学校(3)


 前回は、学校にカリスマ性のある人、リーダーシップを取る存在がほしいという話になりました。戸山高校にもリーダーシップを取れそうな人はいるのですが、部活などに行って、クラスや学校全体をまとめる活動には参加したがらない傾向があるようです。
さて話はどう進むのでしょう。

−−まとめてくれる人がほしい?

新垣 最近、何かで人間はそういう存在を欲しているって書いてあるのを読んだんだ。だれかが上で引っ張ってくれれば、自分はこいつについていけば安心だって奴を見つけ出して……。

末宗 ホームルーム議長など決める時なんか、みんな黙りこむから、僕は切れて自分で名乗りをあげるんだけど、力がなくて挫折する。1年のころからずっと、みんなに嫌われるホームルーム議長なんですよ。みんなをまとめるって言うのを誰もやらないから。でも、僕が議長やるとみんな何もやんないんですよ。ゴチャゴチャ言っているだけで。みんなをまとめられる人がだれかいるはずなのにぼくになっちゃう。

石井 だれか一人を待つって言うより、みんなが、ちょこっとずつまとまるって気持ちをもっていた方が良くない? 私なんか一人でガアーッて叫んでね、執行委員会の中でもついてこない。

「みんな自分と比べてる」

新垣 中学の時は、先生とか立場の違う人が引っ張っていってくれると、ついていくんだけど、仲間うちだと、本当に飛び抜けてすごい奴じゃないと、ついていかない。どうも、みんな自分と比べるっていうか、いつもだれかと比べてみてるっていうようなところがあるような気がする。自分より格が上だったら、ついていっても大丈夫だろうって思うし、そうでないと「別におれとあんま変わんねーのに、あいつがなんでやってんだ」って感じで、適当になっちゃう。

石井 それでなんかついていくのもいやじゃない? あの人ならオーケーということで。

新垣 中途半端なんだよ。ついていく方も。

石井 なんか一応ついていってみようって言って、ついて行くけど、なんかムカつくことがあると、違うところっていうのが見えて……。

新垣 「ああ、やめ」ってついていかなくなる。

石井 そうそう

「考えても言い出さない」

末宗 なんか一人でやろうとすると、けっこう文句入るんだよね。文句を聞いていると「何げに考えてるんじゃん」って思うんだけど、文句を言う人はみんなで話し合ったりする場では自分の意見を言い出さないっていう。

石井 それはある。

末宗 あとであそこああすれば良かったんじゃん? って言われると。そしたら言えよって言いたくなる。

新垣 「必死にやってるな」「いい子ぶってるよな」みたいに思われるし、なかなかうざいよ。

庵野 それはどこへ行っても同じですよ。社会出ても。

「まとまる気持ちが必要」

石井 一人一人まとまろうとしないと駄目なんだって。

山嵜 妥協はいるよね。

石井 自分の中で妥協はいるね。ここは仕方ないんだって。

新垣 でもみんな、おれはやれば出来るんだけどって思っても、やらない。

末宗 出し惜しみしている。

新垣 自分に自信を持ってないんだろうね。

石井 自分ができること隠しているっていうか、できないとき怖いんじゃん?

末宗 失敗は恐れちゃ駄目だし、実際、苦労してないとある程度分からないよ。

−−文句言う人はどんな感じで文句言うんですか。

新垣 なんか、早いんだよね。もう少し辛抱できないかって思う。最近、切れるという話がよくでているけど、ほんと、なんか進歩がないって言うか……。

岩水 「人権意識」が「わがまま」になっているよね。

一同 笑い
(つづく)

(毎日中学生新聞5月21日号より転載)


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