東横学園高等学校(4)


 前回、女子高生たちのハチャメチャな旅行に庵野監督は目を丸くしていました。彼女たちのおしゃべりはさらに続きます。くったくがないというか、晴れ晴れ生きているというか、ともかく彼女たちの話には嫌味がないのです。監督は「こんは女子高生が本当にいるなんて」とただただ驚き、まいっていました。

−−監督の高校生活はどうでしたか。

庵野 学校にいる間は、勉強以外はやりましたね。

柏原 そう、勉強以外はホント、やっていると思うんだよね。

庵野 みんなとは、やっていることは違うけど、徹夜して、マージャンやるっていうのも、心鍛えられますよ。

−−みなさん、テスト期間中には、徹夜して勉強しているんですか。

笠木 うん。でも、うちら、テスト中にも語ってるんだよね。

柏原 そう、テスト期間中に電話で2時間半とかね。午前4時とか5時にだよ。あと30分後に電話して、起こしてねって感じで。

一同 テスト中に限ってそうなるよね。

笠木 テスト中は、勉強ばっかりしているから、イヤになるんだよね。しゃべりたくなったら止まらないんだよね。

柏原 テスト期間中に限って、机の上とかキレイにしちゃうんだよね。掃除機とかかけてね。テスト終わったらやろうと思っていても、テスト期間中じゃなきゃイヤなんだよね。

一同 ギャハハー。

柏原 トイレ入ったり、おふろ入るのって、いつもめんどうくせーとか思うけど、テスト期間中は、ああ、おふろーって解放された感じになるよね。

笠木 私、おふろ後回しにして、とっとくんだ。

一同 そう私も。

柏原 みんな同じだよね。自分だけが変だと思っていたけど。

「学校生活に不満はない」

−−みなさん、にぎやかですけれど、学校生活に不満はないのですか。

柏原 だいたい、いいよね。不満ないよね。

笠木 不満、全然ない。特に、学年が上がるにつれて不満がなくなる。

−−中学時代は、学校に不満があったということですか。

笠木 中学時代の不満……。それは自分が子どもだったからだと思う。

柏原 そうそう、同じことを解決するにしても、今と中学じゃぜんぜん違う。今、中学の後輩がけんかしているのを見ても、中学時代はどうしたらいいか分からなかったんだろうけど、今ならこれはこうやりゃいいなって分かる。

笠木 中学時代だったら、これはキレちゃうなっていうこともね。その時の自分の気持ちが分かるからね。

米山 経験があるからね。

柏原 そう、中学の3月と高1の5月だったら、考え方全然違う。高校生っていう肩書がついているからだと思うけど、年は同じでも気がついたら違っている。

笠木 先生に怒られても、前だったら 「ムカツク」だったけど、今は本当にすみませんって思うし。

−−みなさんそう思いますか。

 うーん、時と場合によってですね。

一同 まあ、そうだよね。アハハ。

庵野 いやあ、もう圧倒されていますよ。立ち入る余地ないですよ。1晩中でも、こういう話しているの。

柏原 うん。するよね。

「兄弟とも仲良しだよね」

笠木 うちら兄弟の話もするよね。

柏原 そう、うち、妹の方が、勉強ができてしかもクールなんですよ。私が目指していた第一志望校受かっちゃったし。私の方が妹みたい。勉強教えてもらったりね。おねえちゃんなんて、呼ばれたことないよ。

笠木 私、弟いるんですけど、夜中の2時ごろ、弟を「タカヒロ〜」とか呼ぶと、「またねえちゃんかよ」って、うざったそうに返事するんだもん。

柏原 わー、ステキ。

庵野 アハハ。

笠木 「ちゃんと勉強しているの」とか「好きな子いるの」とかわざわざ弟に聞いたり、「ねえ、足の裏踏んで」とか言ったりしてうざいんですよ私。弟は今、中学3年生なんですよ。でも、全然反抗期じゃないし。仲良くて、かわいい。

柏原 私の場合、妹と年が近いから、雑誌とか貸し借りして。全然、趣味違うんだけど……。

庵野 本当に立ち入るすきがないですよ。一応、存在は知っているんですよ。こういう高校生がいるっていうことを。今、少女漫画のアニメをやっているんですけど、うそにしか見えないんですよ、少女漫画の「みんないい人」っていう世界が。無防備にここまで人を褒める人たちがいるんだなって、驚きですよ。ああ、いるんだ本当に。

柏原 嫌なことなんて、あるかな。

庵野 いいよ無理に探さなくても。

柏原 嫌なことあっても、それよりもいいと思うことがあるから。先生にムカツクことあったとしても、先生だって人間なんだからって思うし、消化できる余裕がある。

(毎日中学生新聞10月15日号より転載)


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